静岡新聞「薬の相談室」
尿路結石再発防ぐためカルシウム制限—低脂肪牛乳など一定量摂取重要
質問
56才の男性。カルシウム含有結石の尿路結石で苦しんだので、再発予防としてカルシウムを制限しています。しかし、生活習慣病の予防のためにカルシウムをとらなくてはと思い困っています。
回答
以前は、食事におけるカルシウム過剰摂取が尿路結石の成因として考えられ、カルシウム摂取量を控える食事指導が行われました。しかし、現在では再発防止にはカルシウムを一定量摂取することが重要である、とガイドラインに記されています。
つまり、腸管内でカルシウムとシュウ酸が結合して糞便中に排泄されますが、カルシウム摂取が少ないと余剰のシュウ酸が腸管から吸収され、そのシュウ酸が尿中カルシウムと結合し尿路結石へとつながります。このような余剰のシュウ酸を作り出さないためにも、カルシウム摂取とシュウ酸摂取量の制限が必要です。
一般に日本人のカルシウム摂取量は一日所要量の600mgに達していないので、カルシウム摂取として牛乳が勧められます。ただし、過剰な脂肪摂取も尿路結石形成の危険因子と考えられているので、過度な摂取にならないよう注意し、低脂肪牛乳などを選択しましょう。
再発予防という点から見ると、1日2,000mL以上の水(水道水やシュウ酸含有量の少ない麦茶、ほうじ茶)を飲んで、1日の尿量を2,000mL以上とすること、そして、食事は動物性タンパク質、シュウ酸、塩分、砂糖、脂肪の過剰摂取を避け、カルシウム、炭水化物(穀物)、クエン酸の適量摂取が勧められます。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子