野菜のビタミンは、過去と現在の日本食品標準成分表を比較して少なくなっている、と評価している場合が多いのですが、実は、測定方法が変わっています。現在は、高度な分析のため値が低くなっているとも考えられますが、そもそも、分析法の異なる結果を比較すること自体が間違いです。したがって、この理由でサプリメントをとる必要はありません。

また、野菜を食べずに特定の成分を取り出したサプリメントをとるだけでは、野菜の微量で未知な成分などが補給できません。食品には、「栄養面での働き」、「嗜好面での働き」、「健康を維持する生理的な働き」の3つの働きがあり、栄養だけでなく、味や香りを楽しみ、食べることを楽しむことも、健全な食生活のために必要です。

また、サプリメントは安全性に注意が必要です。例えば、ジャガイモは芽を除いて食べるなど、多くの人が長い間食べてきた経験により確認されています。しかし、サプリメントには、原材料になじみのない動植物などが使用されていたり、錠剤などに加工する際に濃縮や抽出されることで、食材の性質が変化する場合もあります。

したがって、一般の食品よりも慎重に考え、野菜不足には錠剤やカプセルなどに加工されたものではなく、なるべく食品に近い、野菜ジュースや青汁などを上手に利用しましよう。

社団法人静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター主幹
大石順子