静岡新聞「薬の相談室」
リウマチ薬とMRSAの関連は—直接の影響考えにくい 感染防止へ衛生管理を
質問
48歳の女性。耳だれの検査の結果、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)におかされていることが分かり、抗生物質が効かないので、週2回洗浄に通っています。リウマチの薬を長年のんでいますが、MRSAと関連はあるのでしょうか。また、他人への感染などMRSAについて教えてください。
回答
MRSAという細菌は、メチシリンという抗生物質が効かなくなった黄色ブドウ球菌のことです。この菌は、人の鼻の中などどこにでもいて、身の回りから消し去ることがとても困難です。健康な人には何の害もないのですが、病気などで抵抗力の弱った人のからだに入ると、通常細菌を退治する薬が効かないために病気が重くなることがあります。
リウマチ薬との関連を心配されていますが、長く続く耳だれは、MRSAや真菌などの耐性菌が原因となっていることがよくあり、リウマチの薬が直接に影響しているとは考えにくいでしょう。MRSAは、現代の医療で抗生物質を使い過ぎたことによって出現した細菌です。問題になるのは、病院の管理体制であり、この菌自体に対して過剰に恐怖感を抱く必要はありません。
MRSAの他人への感染は、健康な人へは心配はありませんが、抵抗力が弱った人へ感染しないようにすることが必要です。感染防止のためには、患者本人だけでなく、周りの方もこまめに手を洗ったり、必要あれば消毒するなど一般的な衛生管理を心掛けてください。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子