静岡新聞「薬の相談室」
中学1年、麻しんの追加接種必要か—流行減少で免疫が低下 3月末までなら公費負担
質問
13才の娘。麻しん(はしか)の追加接種の案内がありましたが、1才の頃に予防接種は済ませています。子どもの病気なのに、もう1回打つ必要があるのでしょうか?
回答
一般に子どもが多くかかる病気として知られている麻しんですが、平成19年から大学生を中心とした流行が始まりました。麻しんの発症を確実に防ぐためには、2回の予防接種が必要とされていますが、流行の中心となった世代の方々は幼少期に1回しか予防接種の接種機会がなく、受けそびれていた人もいます。
麻しんが毎年流行していた時代には、ワクチンを受けた人も毎年のように麻しんウイルスに感染していましたが、ワクチンによる抗体を持っていたので、発病しないまま抗体だけは再び上昇(ブースター効果)し、2回目のワクチン接種と同じことが自然に起こり、ワクチンの効果が一生続くかと思われていました。
しかし麻しんの流行が減少し、感染する機会が少なくなってくるとブースター効果が期待できず、予防接種が1回だけでは、接種後長い時間が経過すると免疫が低下し、ワクチンを接種したにもかかわらず麻しんにかかってしまうようになりました。
ご質問の方は現在中学1年生ですから3月末までは公費負担で追加接種が行われます。免疫が低下して麻しんにかかる前に追加接種をしましょう。なお、現在高校3年生にあたる18才も3月末まで公費負担期間です。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子