静岡新聞「薬の相談室」
小児の市販風邪薬服用について—用法・用量守り、薬の併用避ける
質問
3才の娘の母。2才未満は市販の風邪薬を飲ませないほうがよいと聞いたのですが、3才児は問題ないですか?
回答
米国で、風邪薬の過量投与による小児の死亡事故が問題となり、FDA(米国食品医薬品局)は、報告されている有害事象の全発現率が低いものの、2才未満の小児に限れば有効性や安全性に関するデータが少ないことから使用すべきではないという結論を出しました。このことを受け、日本でも「2才未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること」と風邪薬に記載されました。
日本の場合、小児用シロップ剤の濃度は、スポイトで計量して飲ませる米国のタイプのものに比べて濃度が10分の1以下のため、適正に使用されれば過量投与の問題は起こりにくいと考えられます。しかし、乳幼児の病気は親による症状の判断が困難な場合も多いので、夜間など医師の診療が困難な時など、応急的に用いることが勧められます。
2才以上の小児が安全に使用する場合は、過量投与や乱用に注意してください。過量投与は単に薬の計量間違いだけで起きるわけではありません。「時間を空けずに頻回に飲む」、「複数の咳止め、風邪薬、鼻炎用薬を併用する」、「処方された薬と市販薬を一緒に飲む」などで過量投与になることがあります。
保護者は、用法・用量を守ること、成分名が違っていても薬効は重複することがあるため複数の薬を勝手に飲ませないこと、などに気を付けてください。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子