静岡新聞「薬の相談室」
ノロウイルスの流行に備える—二枚貝の生食避け十分加熱 調理器具殺菌、手洗い徹底
質問
60代の女性。ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行ってきたようで心配です。新型インフルエンザ対策は行っていますが、ほかに気を付けることがありましたら教えてください。
回答
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は冬場に多く発生します。よく知られているのは、カキを生や加熱不足で食べることで起きる食中毒です。
ノロウイルスは海水中でカキ等の二枚貝(アサリ、シジミ、バカガイ等)に取り込まれ蓄積し、それを食べた人の腸で増殖するため、少量のウイルスの感染でも発症します。つまり、新鮮な食品でもノロウイルスに汚染されていれば食中毒は起こります。
また、ノロウイルスは感染力が強く、感染者の吐しゃ物やふん便から二次感染することがあるので、嘔吐(おうと)や下痢を発症した場合は特に注意が必要です。
新型インフルエンザ対策で手洗いが徹底されているため、例年に比べて患者が少ないようですが、新型インフルエンザウイルスに有効なアルコールは、ノロウイルスにはあまり効果がありません。調理台や調理器具の殺菌や感染者の吐ぶつやふん便には次亜塩素酸ナトリウムを使ってください。
予防のポイントは、(1)カキなどの二枚貝の生食はできるだけ避け、中心部まで十分に加熱する(85度1分以上)、(2)二枚貝類を扱った手や調理器具は必ずよく洗う、(3)トイレの後、調理の前、食事の前には必ず手を洗う、(4)吐しゃ物などは次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭き消毒をする、などです。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子