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静岡新聞「薬の相談室」

納豆、きな粉をとった方がいいか—栄養豊富だが偏りは禁物 食事バランスガイド参考

質問

61歳の女性。血栓予防には夕食に納豆、とよく聞きますが、朝夕半パックずつでも効果はあるでしょうか。また、無塩トマトジュース1杯、そして低脂肪牛乳に抹茶ときな粉を混ぜてコップ1杯のむと体によいようなので、毎朝、ご飯や味噌汁とともにとっていますが、栄養の取りすぎにならないでしょうか。コレステロールは高めで、降圧薬と睡眠薬を服用し、やせ型です。

回答

納豆に含まれる酵素ナットウキナーゼが血栓の溶解に関与するといわれていますが、実際には、ヒトでの有効性について信頼できるデータはありません。しかし、納豆にはタンパク質や大豆イソフラボンだけでなく、ビタミン類などの栄養素が豊富に含まれ、特にビタミンKは、カルシウムが骨になるのを助け、骨タンパク質の働きを高めるので、毎日の食事(いつでも)に納豆を取り入れてください。ただし、ビタミンKは抗凝血薬のワルファリン(商品名:ワーファリン)の作用を弱めるので、この薬を服用されている方は納豆を食べてはいけません。

また、血圧やコレステロールを心配されて無塩、低脂肪と配慮されていらっしゃるので問題はありませんが、食生活は身近な健康への第1歩です。マスメディアで取り上げられたから実行するのではなく、科学的な裏付けがあるか確認したり、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」を参考に、毎日の食事を楽しく味わって食べましょう。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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