おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

たばこの本数減らしたい—完全禁煙が鍵、補助薬利用

質問

48才の男性。喫煙者です。タバコをやめることは大変なので、タバコの喫煙本数を減らしています。1日何本を目安に考えればよいのでしょうか?

回答

タバコに含まれるニコチンは依存性のある薬物で、多幸感を生む脳内物質であるドパミンを強制的に分泌させ、ストレスから開放された感覚を覚えます。しかし、この作用は一時的なため、すぐにニコチン欠乏になり、次のタバコを吸いたいという欲求が生まれ、ニコチン依存が形成されます。

さらに、「タバコはストレスをとってくれる」とか「タバコなしでは生きられない」という異常な認知が形成され、ニコチン依存症と異常な認知が禁煙を困難にしています。

タバコを控えて本数が少なくなっていくと、それに応じて脳はニコチンを欲求する度合いが増し、深く最後まで吸うなど、より効率よくニコチンを摂取するようになってしまいます。タバコを減らすほど大切に吸うようになるため、タバコの本数を減らしたからといって、喫煙の害がその分少なくなることはありません。

また、ニコチンの少ない軽いタバコを吸ったとしても、無意識に同じだけニコチンを摂取してしまい、実際のニコチン摂取量は少なくなりません。

タバコは控えるのではなく、完全に禁煙することが大切です。ニコチン依存症は治療可能な病気で、市販のニコチンパッチだけでなく、保険で治療できる禁煙外来では内服薬も処方できるので、このような禁煙補助薬を上手に利用して禁煙してください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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