おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

関節リウマチの新治療薬について—効果に個人差、副作用など検討

質問

42才女性。節リウマチの治療の進歩が著しく、症状のない状態にまでできる治療があるということを聞きました。どのような薬ですか?

回答

関節リウマチは、関節に炎症が起って痛みや腫れが生じ、次第に関節や骨が壊れて変形していく病気です。従来は、関節破壊はゆっくり進むと考えられていたため、痛みを和らげることに治療の重点が置かれていました。しかし、近年、関節破壊は発症後1~2年ほどで急激に進むことがわかり、現在では関節リウマチの診断後、抗リウマチ薬を中心とした治療を3ヶ月以内に開始することが推奨されています。

最近ではサイトカイン阻害薬と言われる生物学的製剤が次々に開発され、現在治療の中心であるメトトレキサート(MTX)で効果不十分の場合、治療薬として選択されるようになりました。

生物学的製剤にはインフリキシマブ(商品名:レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、トシリズマブ(アクテムラ)の4製剤がありますが、今後さらに新しい製剤が承認される見込みです。最先端の外来診療現場では、60%のRA患者で関節破壊が全く進行しない寛解となっています。

しかし、すべての患者さんに効くというわけではないこと、ウイルスや細菌に対する抵抗力が低下するため肺炎や結核などの感染症に注意が必要なこと、副作用(発疹、頭痛、吐き気など)の問題などがあります。さらに、薬の値段が高いことも課題です。

以上のようなことを理解したうえで、リウマチ専門医のいる医療機関で相談してください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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