静岡新聞「薬の相談室」
肝斑の新薬について—30~40歳代女性に発症 服用2ケ月が効果の目安
質問
84才女性。顔のシミの肝斑(かんぱん)に効く新しい薬が市販されたと聞き、42才の娘が使っています。高齢者のシミにも効果がありますか?
回答
シミには、紫外線が主な原因の老人性色素斑、虫さされ、化粧品などによる炎症のあとの炎症性色素沈着など、いろいろな原因でおこり、肝斑もその1つです。
肝斑とは、30歳前後から、境界のはっきりしないモヤモヤとした淡い茶色のシミが両頬や口のまわりに左右対称に現れるシミです。肝臓のシミ、「肝斑」と書きますが、肝臓や内臓の病気とはまったく関係なく、女性ホルモンのバランスが影響してできるシミといわれています。
肝斑が発生しやすいのは30~40歳代の女性で、症状が見られるのはだいたい50歳代後半までで、その後閉経とともに薄くなったり、消えたりする傾向にあるといわれ、高齢者ではほとんど肝斑は発症しません。
肝斑にはさまざまな治療法がありますが、皮膚科医で第一選択とされているのは、メラニンが作られる前の段階でメラノサイトの活性化を阻害し、肝斑の発症を抑えるトラネキサム酸の内服薬です。
今回、国内で発売されたのは、トラネキサム酸を主成分としてL-システインやビタミンCを配合し、「シミ(肝斑に限る)」という効能効果の薬(商品名:トランシーノ)です。毎日服用して2カ月が効果の目安となります。ただし、改善の程度には個人差があり、誰にでも効果があるわけではないので、購入の際は薬剤師にご相談ください。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子