静岡新聞「薬の相談室」
抗菌薬レボフロキサシンについて—1日1回の服用が効果的
質問
46才女性。以前、膀胱炎になったときは、レボフロキサシン(商品名:クラビット)という薬を1日3回に分けてのみましたが、今回は同じ薬を1日1回で500mgをのむようになりました。一度にまとめても効果は変わらないのですか?
回答
レボフロキサシンは100mgの錠剤で、1日200~300mgを2~3回に分けて服用するのが日本では一般的でした。しかし、一度に高用量を使う方が効果的であり安全性も確認され、1日1回の服用に、500mgの錠剤が登場しました。海外では、欧米のみならず韓国や中国でも500mgを1日1回が一般的ですから、世界標準の用法・用量になったわけです。
しかし、すべての抗菌薬をまとめて良いわけではありません。抗菌薬には、時間依存性の薬と濃度依存性の薬があります。レボフロキサシンのように濃度依存性の薬は、細菌に接触している抗菌薬の濃度が高いほど殺菌作用が強くなるので、投与時の最高血中濃度をできるだけ高くした方がより良い効果を期待できます。
一方、時間依存性の薬は、一定以上に濃度を上げても抗菌作用に差がみられず、細菌と抗菌薬が接する時間が長いほど抗菌作用を発揮するので、投与回数を増やして最小発育濃度以上に保たれる時間を長くすることが重要になります。
このように抗菌薬の作用の違いによりのみ方は異なりなります。薬局で薬を受け取る際には、十分な服薬指導を受け、用法・用量を守るようにしましょう。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子