静岡新聞「薬の相談室」
新型インフルワクチンについて—重症化や死亡率抑制が主目的 人込み避け、手洗い励行し予防
質問
新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者はどのような人でしょうか?ワクチンを打てば新型インフルエンザにかからないのですか?
回答
今回の新型インフルエンザウイルスは、感染力は強いのですが、多くの感染者はかかっても軽症のまま回復しています。ただし、国民の大多数に免疫がなく、感染が拡大する可能性があることや、糖尿病やぜん息などの基礎疾患がある方や妊婦の方などが重症化する可能性があることが懸念され、そのような方が優先接種の対象者となっています。
また、必要な医療を確保することもワクチン接種の目的になっているため、新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員含む)が優先接種の上位となっています。
ワクチンの効果については、「接種すれば新型インフルエンザにかからない」は誤解です。ワクチンの効果は100%ではなく、「ワクチンを打ちさえすれば良い」というわけでもありません。新型インフルエンザワクチン接種の主目的は、重症例や死亡例の発生を限りなく抑えることにあり、感染防止や流行阻止ではありません。
様々な対策の一環としてワクチン接種があることを忘れず、新型インフルエンザの感染防止には、頻繁に手洗いをすることや人混みを可能な限り避ける、などの予防策を講じることが必要です。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子