静岡新聞「薬の相談室」
新型インフル予防策—せき、熱のある人に近づかない 人込み避け、せっけんで手洗い
質問
新型インフルエンザの予防対策でマスクや手の消毒アルコールを用意したいのですが、売り切れていることが多く困っています。
回答
新型インフルエンザでは、不織布製マスクが勧められます。しかし、マスクのフィルターに、環境中のウイルスを含んだ飛沫がある程度は捕捉されますが、マスクを着用することで飛沫を完全に吸い込まないようにすることは出来ません。つまり、マスクは症状のある人が、咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐことが主な役割です。
感染予防では、咳や発熱等の症状のある人の2メートル以内に近づかない、流行時には人混みの多い場所に行かない、手指を清潔に保つ、ということを優先してください。そして、新型インフルエンザにかかってしまった時に、周囲にうつさないための咳エチケットとしてある程度のマスクを備蓄するようにしてください。
また、市販のアルコール消毒液を使い、手を消毒するのも効果的ですが、新型インフルエンザに限らず、感染症に対して有効な予防方法は「手洗い」です。手の脂などの汚れを落とすことにより、ウイルスを手指からはがれやすくする効果があるので、石けんを使って最低15秒以上行い、洗った後は清潔なタオルやペーパータオルなどで水を十分に拭き取ります。市販のアルコール消毒液は、手洗いが出来ないときなど、手洗いと併せて活用しましょう。
インフルエンザウイルスは変異するため、今後も最新情報に注意し、冷静な対応をすることが必要です。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子