静岡新聞「薬の相談室」
ワルファリン服用中の納豆摂取—相互作用は数日間続く 血栓塞栓症の悪化も
質問
58才の男性。心臓の手術をし、今はワルファリンカリウム(商品名:ワーファリン)を服用しています。大好きな納豆を禁止されていますが、朝に薬を飲むので、夜には納豆を食べても大丈夫でしょうか?どのくらいずらせば問題ないのか教えてください。
回答
納豆、クロレラ、緑葉色野菜、一部の総合ビタミン剤などには、ビタミンKが含まれているため、ワルファリンの血液を固まりにくくする作用が減弱します。最悪の場合には、血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の悪化から死亡する可能性もあります。
そのため、ワルファリンを投与されている場合は、ビタミンKが含まれる納豆およびクロレラの摂取、緑葉色野菜の大量摂取、ビタミンKを含むビタミン剤の服用などを避ける必要があります。
納豆とワルファリンの相性は大変悪く、納豆は1回(100g、市販の1包)食べるだけで、その影響は数日間続きますので、ワルファリンの服用と納豆を食べる時間をずらしてもだめです。きついでしょうけれど、我慢してください。
そのほか、高血圧の薬(カルシウム拮抗剤)とグレープフルーツジュース、免疫抑制剤とセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、ハーブの一種)なども相互作用が数日間持続します。
何気なくしてしまう食べ合わせですが、かかりつけ薬局を決めて、食習慣や薬、健康食品、サプリメント、飲酒、喫煙などのライフスタイルを薬剤師に伝え、適切な説明や指導を受けましょう。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子