静岡新聞「薬の相談室」
母乳育児中の鎮痛薬服用—心配ないが市販薬購入時に薬剤師の助言受ければ安心
質問
32才の女性。母乳で子どもを育てています。頭痛のため、市販の痛み止めのイブプロフェン(商品名:イブA) を飲みたいのですが、どれくらい空ければ授乳できますか?以前、アセトアミノフェン(タイレノールA)を飲んだこともあるのですが、大丈夫でしょうか?
回答
ほとんどの解熱鎮痛薬は母乳中にわずかしか移行しないので、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどを授乳中に使うことができます。特にイブプロフェンは痛みや腫れを抑える効果が強いので、乳腺炎に推奨されています。
鎮痛効果の強いジクロフェナクナトリウム (ボルタレン)は、乳児には禁忌ですが、血液の中のたんぱく質との結びつきが強く、薬の性質として母乳の中に非常に出にくいので、痛みが激しいときに使うことができます。市販薬では、腰痛、打撲に使うテープ、ローション、ゲルがあります。
また、アスピリン (バイエルアスピリン)も、たまに使う程度でしたら、実際に赤ちゃんに影響が出る可能性は非常に低いと言えます。
授乳しているからと痛みを我慢したり、薬を飲んだからと授乳を控えたりするのは、 どちらもとてもつらいことです。そのような時に市販の薬を購入する際は薬剤師に相談してください。例えば、「アスピリンは、血液中の薬の濃度が最大に達するのは薬を飲んでから1-2 時間後、半分の濃度に減るのが 2.5-7 時間後なので、服用後 3-4 時間あければ、より薬の影響が少なくなりますよ」というアドバイスを受けることもできます。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子