静岡新聞「薬の相談室」
南京虫の駆除方法—柱と壁、家具のすき間に潜伏 ノズル付きエアゾール剤噴霧
質問
旅先の海外から持ち込んだと思われる南京虫が、夜になると出てきて何箇所も刺し、とてもかゆくて困っています。殺虫剤を床と壁の隙間に噴射したり、燻煙剤を焚いてみましたが、まだいるようです。駆除方法を教えてください。
回答
南京虫は別名をトコジラミと言い、70年代にいったん姿を消しましたが、今世紀に入って米国などで大発生し、直後に日本の宿泊施設や老人施設にも姿を現し始めました。
トコジラミは、髪に寄生するアタマジラミや、ケジラミとは違ってシラミの仲間ではなく、カメムシに近く、乾燥した場所を好み、柱と壁の隙間や割れ目、家具などの隙間に潜んでいます。
夜行性のため寝ている間に、首や手、足などの比較的柔らかい部分を吸血し、吸血中に刺し口を変えるので、多くの場合、刺しあとが並んで2つ残ります。刺された場合、1度目はあまりかゆみはありませんが、2度目以降はアレルギー反応で強いかゆみが出てきます。
駆除するには、こまめに掃除機をかけることが大切です。また、潜んでいる近くには、フンによる汚れたシミ跡があるので、その汚れを目印にして、潜伏場所にノズルの付いたエアゾール剤の殺虫剤を噴霧します。燻煙剤による処理は、狭い隙間に薬剤が入り込みにくいので、あまり効果的ではありません。1週間くらい間を置いて数回行ってください。
殺虫剤が効かない場合もあり、駆除が困難な場合は、お近くの保健所に相談し、専門業者に駆除を依頼してください。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子