静岡新聞「薬の相談室」
新型インフル、消毒の仕方—アルコールで周囲ふき取る 衣類、食器は通常洗剤で洗う
質問
新型インフルエンザウイルスの消毒は、ノロウイルスの消毒薬を使えばよいのでしょうか?うがい薬、手洗いの石けん、濃厚接触したと思われたときの衣服などの消毒の仕方を教えてください。
回答
ノロウイルスを失活化するには、アルコールや逆性石鹸はあまり効果がありません。しかし、新型インフルエンザウイルスは、消毒用エタノールやイソプロパノールのようなアルコール類、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬が有効です。ただし、薬剤をスプレーするのは、ウイルスを舞い上げたり消毒不十分となること、ご自身が吸い込む可能性があることから勧められません。ドアノブ、便座などは、消毒薬でふき取るようにし、その際には、手袋・マスクと目を保護できるメガネを身につけてください。
手洗いは、石けん自体にはウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪などの汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があるので、石けんを使って最低15秒以上行い、洗った後は清潔なタオルやペーパータオルなどで水を十分に拭き取ります。または、速乾性擦式消毒用アルコール製剤を使いましょう。
ヨウ素系のうがい薬は自分の周辺に流行している時だけなど比較的短い期間を決めて使用し、日常的な予防としては「水うがい」を行います。
濃厚接触したと思われたり、患者が使った食器や衣類は、通常の洗剤によって消毒できますが、80度、10分以上の熱水消毒も有効です。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子