静岡新聞「薬の相談室」
新型インフル、10歳代へのタミフル処方—現状では最も有効な治療法 自宅療養時は一人にさせない
質問
高校生の息子の母です。季節性インフルエンザの時は、10歳代の息子にはタミフルは処方されなかったのですが、新型インフルエンザの治療では処方されるのでしょうか?
回答
インフルエンザ治療薬のタミフルを服薬した10歳以上の子どもは、服薬しなかった子どもに比べ、飛び降りなどの深刻な異常行動をとるリスクが1.54倍高いという分析結果が、厚生労働省研究班の最終報告書で明らかになっており、タミフルとの因果関係は否定できず、深刻な異常行動に絞った新たな研究を実施すべき、と指摘されています。
しかし、世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は、1957年のアジア風邪並みの約0.4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いと言われています。
また、国内でも流行する可能性が高まり、治療には抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)が有効とされ、他に有効な治療法もありません。そのため、10歳代の子どもでも、新型インフルエンザ感染が疑われたり、患者に濃厚接触した場合の感染予防に、例外的にタミフルを使用することがあります。
タミフルが処方された場合に、家族や患者は、(1)異常行動の発現のおそれがある(ただし、インフルエンザそのものでも起こることがある)ことを理解し、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮するようにしてください。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子