おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

ヒアルロン酸と薬服用の影響は—健康食品は賢い利用法で

質問

82才の女性。高血圧、糖尿病の薬を服用しています。テレビ、新聞などで宣伝しているヒアルロン酸の健康食品を一緒に服用しても副作用はありませんか。教えて下さい。

回答

ヒアルロン酸は体内のいたるところに存在し、特に、へその緒(臍帯)、関節液、目の硝子体、皮膚などに多く含まれています。しかし、からだの中のヒアルロン酸濃度は成長とともに減り、皮膚では特に40代後半から加齢とともに減少していくことが報告されています。

保水力に優れるヒアルロン酸は、皮膚の潤いを保つ化粧水、スキンクリーム、入浴剤などの化粧品や医薬部外品に使われています。また、注射薬として、関節機能を改善したり、眼科手術の補助剤や点眼剤など、医薬品としてもその特性が活かされています。

ヒアルロン酸を飲んだ場合、ハーブやサプリメント、食品、医薬品との相互作用は知られていませんが、「関節痛を和らげる」「美肌効果がある」といわれている作用は、外用や注射により適切に用いられた場合がほとんどです。飲んだ場合のヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たらず、安全性についても充分なデータがありません。

いったん減少したヒアルロン酸は、飲んでも簡単には元に戻ることはありません。また、関節痛などの障害は、ヒアルロン酸が不足しているわけではなく、別の原因で起こっている可能性もあります。

健康食品はあくまでも食品の1つとして賢く利用してください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

薬の相談室へ戻る