静岡新聞「薬の相談室」
睡眠薬飲んでも長時間眠れない—眠る準備できてから服用を 寝酒は相互作用考慮して避けて
質問
66才男性。定年後よく眠れず、薬局で購入した睡眠改善薬や開業医で処方された睡眠薬の他に寝酒も試してみましたが、1日8時間を眠ることができません。このまま睡眠不足の状態でも大丈夫か心配です。
回答
「1日8時間」という睡眠時間は絶対ではなく、睡眠時間は人それぞれです。日中の眠気で困らなければ十分なので8時間にはこだわらないことが重要です。年齢を重ねるにしたがって睡眠時間が短くなっても問題はなく、60 歳代では床に入ってまどろんでいる時間も含めて6時間でも構いません。
また、睡眠薬を飲めば、眠くないときにも眠れると考えがちですが、眠る準備ができてから睡眠薬を服用することで、初めて効果的に使え、前向性健忘(ある時点から以降の記憶が障害されること。)などの副作用も防ぐことができます。
例えば、寝付けない場合は暗い部屋でじっとするよりも、部屋を少し明るくしたりテレビを見るなどして本当に眠くなるまで待ちましょう。「眠らなければ」という強迫観念が返って寝付きを悪くします。
また、眠りが浅いと感じた時は、むしろ積極的に遅寝、早起きにし、寝床で過ごす時間を短くしましょう。
寝酒は中途覚醒の原因につながるため不眠の元になり、また、アルコールと睡眠薬は相互作用もあるので寝る前の飲酒は避けてください。
睡眠薬は正しく使えば安全です。薬の使用については、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に相談しましょう。
(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター主幹
大石順子