このページのトップ

現在の位置: トップページ薬剤師と薬局薬剤師に聞こう › 4.薬効の個人差、遺伝子絡む



ここから本文です

4.薬効の個人差、遺伝子絡む

平成17年10月24日掲載

薬の効き具合には、個人差があります。服用した薬は、体の中でさまざまな酵素により、化学構造が変化します。これを代謝といいます。代謝に関わる酵素は、遺伝、年齢、病態、飲食、薬の服用などによって影響を受けます。また、この酵素は、遺伝的に多様な変異を生じている場合があります。これを遺伝的多型性があるといいます。このことが、薬の効き具合に個人差を生じる大きな原因の1つになります。

薬の代謝に最も重要な役割を果たしている酵素であるチトクロームP450は、遺伝的多型性を示し、化学的に特徴が異なる酵素が数多く存在します。例えば、ある血圧降下薬の代謝には、その1種であるCYP2D6が関わっています。この薬を代謝する能力が低い人と、高い人が存在します。CYP2D6を代謝する能力が低い人は、この降圧薬の服用により強い起立性低血圧を生じます。この患者さんではこの薬の代謝が行われないため尿中にこの薬を代謝した物質がほとんど検出されません。

一般に、薬の量は薬を代謝する能力が高い人に合わせて設定されているため、その能力が低い人にとってはその量は過剰となり、薬が効きすぎたり、思わぬ副作用を生じる危険があります。患者さんの遺伝的多型性を、遺伝子診断により診断し、薬の服用に役立てる取り組みが始まっています。近い将来、もっと身近に遺伝子診断が行われ、最適な投与量を患者さんごとに設計する"テーラーメイド医療"が実現することが期待されています。

静岡県立大学薬学部講師 加藤善久
静岡県立大学薬学部講師
加藤善久

このページの先頭へ戻る